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「生誕100年 船田玉樹展―異端にして正統、孤高の画人生―」@広島県立美術館

先日、広島県立美術館で開催中の「生誕100年 船田玉樹展―異端にして正統、孤高の画人生―」に行きました。

広島県立美術館のHPやツイッター、Facebookで紹介されていた「花の夕」という作品の画像が素敵だったので観に行ったのですが・・・

実物の大きさといい迫力といい、すごかったです。

他の作品も本当にすばらしかった!

作品から発せられるエネルギーというかパワーがすごくて、日本画ってこんなにエネルギーがあるのか?と思わされました。

作家の魂というか、そういうエネルギーが作品を通じて発せられているというか・・・

全くの素人の私には技術的なことは分かりませんが、素人にも伝わってくるエネルギーがありました。

パワースポットのようだった。

230点以上という作品数もすごいのだけど、大きな屏風から 本の挿絵のような作品まで所狭しと並ぶ作品達。

ひとりの作家が一生を懸けて生み出した作品の数々に感動せずにはいられませんでした。

これだけの作品を観られる個展って貴重ですよね。

教科書でいろいろな作家の1点の有名な作品を習う授業では感じることのできない体験でした。

船田玉樹という人は呉市広あたりのご出身だそうで、ご子息も芸術家なのだとか。

知らなかったな~。広島出身のこんな作家さんがいらっしゃったなんて。

「花の夕」は八重桃の花と言われているそうです。

桃花だけでなく、梅も桜もたくさんあってとても素敵でした。

大きな作品の前に立つとまるで目の前に花樹あって、香りがただよっているような気さえします。

船田玉樹展はぜひ行くべきだと思う。(2013年2月20日まで)

行ってよかった~ :-P

広島県立美術館では公民館などでも出張講座をやっているそうです。

***佐伯区の出張講座***

■皆賀公民館

出張!県立美術館inみなが公民館「3倍楽しむ美術館

2013/2/14  10:00~11:00

 生誕100年 船田玉樹(ふなだ・ぎょくじゅ)展

2013/3/7 13:00~14:00

 第59回日本伝統工芸展

2013/3/9 10:45~12:00

 第59回日本伝統工芸展へ行こう

■利松公民館

もっと知ろうよ、広島。魅力発見講座その5~日本工芸展によせて

2013/2/21 10:00~11:30

(講師は広島県立美術館宮本学芸員)

中国新聞「広島県立美術館、学芸員が展示監視も」に思うこと。

少し前に中国新聞に載った「広島県立美術館、学芸員が展示監視も」のニュースについて。

一部で話題にもなったのだが・・・

個人的にはそもそも県立美術館は利益を追求する場所ではない、と思っている。私は広島県生まれの広島県育ちだが、支払った県税が美術館の運営に使われるのなら全く文句はない。(それよりも誰もいない田舎に立派すぎる道路を造るのに税金を使うのをやめてほしい)

とは言っても、赤字の展覧会っていうのは時勢や多くの人の需要に合っていないのか?ということにもなるのかと思う。

であれば、経費削減よりも魅力ある美術館運営や集客に力を入れる方が重要だろう。

では、広島県立美術館はお役所仕事でそういう努力をしていないのか?

私は最近の美術館は頑張っていると思う。

そもそも中国新聞もこういう記事も載せるのなら、広島県立美術館が美術館運営や集客のためのさまざまな努力をしていることも同時に載せるべきだと強く思う。

恒例となりつつあるWebレポーターもその一つで、他では聞いたことのないイベントだ。

昨年リニューアルされた広島県立美術館のホームページには学芸員や美術館スタッフによる公式ブログがあり、美術館の裏話やイベントが楽しく紹介されており、参加してみたいな、という気を起こさせる。

また最近は所蔵作品展で一部の作品の写真撮影が許されるようになっていたり、所蔵作品の情報や画像を検索できる「館蔵品検索」がホームページからできるようになっている。

私は芸術作品の著作権について全くの素人だが、あれだけの数の所蔵作品の情報の整備や著作権の調整がどれほど大変なことか、素人の私でも想像がつくのだから、報道機関ならなおさらよく分かるだろう。

撮影が許されている作品もほんの少しというわけではなく、有名な作家の作品も数多く撮影できるようになっているのには驚く。館蔵品検索では美術館が所蔵する4000点以上の全作品の情報が公開されている。広島県立美術館の所蔵作品数は近隣の県と比較しても群を抜いて多いのだ。

美術館で行われるイベントや、学芸員による出張講座にしてもとても魅力的で、どれもやってみたいと思えるものだ。

そういえば「広島県立美術館パートナーズクラブ」という近隣の飲食店などとコラボレーションした企画も12月からはじまっているらしい。

こうした試みと情報公開は広島県立美術館の、少しでも魅力ある美術館を目指しての挑戦のように思える。

私は、美術館の挑戦を応援したいし、そういう美術館であることを広島県民のひとりとして誇りにも思う。

個人的には年間パスポートなんかがあったり、前売り券が携帯やネットで購入できるともっと嬉しい。個人情報を管理するようになるとすると大変にはなるのだが、その分展覧会に来た人の傾向や情報が分析できるようになり、今後の展示企画には役立つだろう。

鑑賞も自分の携帯電話やタブレット端末で作品解説を読みながらできるとありがたい。これはハードルが高いことだと思うが、実際に国立西洋美術館や東京国立博物館の法隆寺宝物殿などではそういうことができると聞く。こちらも閲覧者の傾向などを分析するのには役立つ情報になる。

著作権が整理された作品情報や画像は、ぜひ広島の子供達の教育現場でも活用してもらいたい。

県は美術館の集客を美術館任せにするのでなく、観光面や教育委員会との密な連携や協力・支援もするべきだろう。

いずれにしても、こうした新しい試みは一朝一夕に効果が現れるものではなく、美術館には今後もどんどん魅力的な挑戦を期待しているし、見守っていきたいと思う。

「永田萠―夢みるチカラ展」@広島県立美術館

 

広島県立美術館で開催中の「永田萠―夢みるチカラ展~少女のこころを忘れないあなたへ~」へ行ってきました。

永田萠先生の作品が大好きで前売り券もしっかり購入したのですが、今回は広島県立美術館恒例のWebレポーターイベントに参加させていただきました。

まず最初、2階の会場入り口には、なんと妖精の衣装が用意されています。

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こちらの妖精の衣装は文化服装学院広島校の学生さんが作られたのだそうです。

会期中は妖精の衣装を着て、そばにある萠先生のスノードロップのイラストのステージで自由に写真を撮ることができます。

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さらに、もう1回目は終わったのですが、次回12月23日にはプロのカメラマンさんによる本格的な器機や照明を使っての撮影会もあり、しかも無料なのだそうです :-P

さて、会場に一歩踏み入れると、そこは永田萌先生の妖精の世界・・・

妖精は存在を信じる人がいなくなると消滅してしまうのだそうです。萠先生200点以上の作品を前にすると「妖精はきっといる」と信じる気持ちになってきます。

永田萠先生は「カラーインクの魔術師」と称されていますが、その作品の色彩は本当に溜息の出るような美しさです。この彩色のバランスはどういう「心」だと表現できるのでしょう?

萠先生のカラーインク、アクリルリキッドインク、染料などのたくさんの作品を観ることができる、すばらしい展覧会です。

京都の妖精村や、神戸北野美術館でも これだけの点数の作品を一度に観ることはできません。

画材や技法についても常に探求していらっしゃる萠先生ですが、描かれている世界はすべて空想の世界、というワケではありません。花や植物は実際にじっくりと観察して描かれるのだそうです。妖精の羽もトンボだったり蝶々だったりしますが、とても精緻に丁寧に描かれています。

こういうところが、「現実をしっかり生きていないと、夢は描けない。」というところにつながるのでしょうか。

どの作品もとても素敵でずっと観ていたくなります。

どれが一番、と決められるものではありませんが、私は「ミモザの森で」という作品が特に好きです。

「喜びの朝」という作品はこの12月に仕上がったできたての作品だそうです。

萠先生の活動の原点とも言える作品が「小さなもえ」。この作品は先生ご自身もとても大切な作品だとおっしゃっていました。

この作品の女の子は萠先生にそっくりです。

たくさんの作品に囲まれて、いつの間にか顔がほころんでいるのに気づきました。

自然に笑顔になれる作品展です。

ところで、今回の永田萠展は休憩室もお勧めです。

この休憩室には永田萠先生の絵本が数多く置いてあり、自由に読むことができるようになっています。中には今では絶版になっていて手に入らない貴重な絵本もあります。

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また、この休憩室、たくさんの妖精がお出迎えもしてくれて、小さな子供達も大喜びしそうな空間でした。

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グッズコーナーは会場の外にあり、とてもかわいい関連グッズを購入することができます。

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グッズは妖精村のホームページでも購入できるようですね。

私が購入した「夢がうまれるその時に」という作品集は永田萠先生の画業30周年を記念して発刊されたもので、妖精村が発行元になっているためかAmazonなどでは扱われていません(中古はあるかもしれません)。

今回のグッズコーナーで購入できる書籍では妖精村発行のものが特にお勧めです。

他の書籍やDVDはAmazonでも購入できます。

さて、いくら文章で永田萠先生の世界を表現しようと思っても、なかなかうまくゆきません。永田萠先生の世界は作品の前に立って「感じる」のが一番。

たくさんの子供達にも感じてほしいなぁと思う作品展です。

後日、永田萠先生の講演会、サイン会にも行ったのですが、そちらの様子はまた別の日に。

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